今日、頭を通り過ぎていったこと…

もうしょうがないので、ジャンルを限定せずに…

妊娠中の炭酸リチウムは確かに催奇性があるけど、ラモトリギンは大丈夫

Lithium Use in Pregnancy and the Risk of Cardiac Malformations

N Engl J Med 2017; 376:2245-2254June 8, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1612222

 

この事実自体は何の目新しさもない、以前からよく知られていたことです。 ですが、大事なことなので、こうやってなんども精度の良い追試をやって本当にそうなのかを確認していくのは、とても大切でしょう。

 

私たちが日本という国の中で薬を扱っていると、副作用や催奇性のリスクなどについて、オフィシャルな薬剤情報はほとんどまったくアテになりません。 製薬会社が申し訳に出している「添付文書」も、その他の厚労省のオフィシャルな文書も、責任逃れ的ないい加減な内容しかないので、まるで参考にならないのです。

 

とはいえ、目の間に患者がいて、本当に心配している時に、「まあ、お役所はこんなこと言っていますけど、科学的な裏付けは0ですよ」などとは言えないのです。 結果として、医者たちは個人であれこれ海外のちゃんとした研究結果をあさって知識を入れて、それを参考にして患者に助言していくしかないわけです。

 

その意味で、こうした論文は極めて大切です。

 

躁鬱病双極性障害)は、いわゆる慢性疾患です。 糖尿病や高血圧、膠原病などと同様にかなり長期的な治療が必要です。 当然、若い女性の中には治療期間中に妊娠・出産を経験する人も出てきます。 その時に問題になるのが「催奇性」です。 つまり、薬を飲まない時に比べて奇形が生じる可能性が上がるかどうか? そういう種類の薬なのか、そうではないのか? という情報です。

 

昔から言われてきたように、今回のこの研究結果でも、やはり炭酸リチウムにはある程度の(とはいえ、奇形を生じる可能性は数%以内です)催奇性があること。 特に心血管系の奇形を生じるリスクを少し上げてしまうこと。 それに対してラモトリギンには催奇性がないこと。 …が示されていました。 まあまあ、当たり前の結果です。 よく知られた事実です。 ですが、とても大事な情報です。

 

私たちにとって、こういった種類の情報がとても切実に大切になって来るのは、とにもかくにも、厚労省がまともな仕事をしていないから…なんて言っちゃ、官僚たちがかわいそうですが。